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投資顧問AIJ社の2,000億円損失 [マネー]

新聞各紙の一面で報じられているAIJ投資顧問の大失態ですが、企業年金の2,000億円が無くなってしまいました。理不尽な損害に腹立つこともさりながら、この事件が不正確に受け取られて、真っ当な投資までもが白い目で見られることを心配しています。

私は、金融仲介業者に所属するファイナンシャル・アドバイザーとして、240名のお客様の資産運用のお手伝いをしています。今回の事件とはまったく縁のない健全な世界ですが、共通するキーワードもあるので、十把一絡げで連想してしまう人もいるようです。その違いを解説したいと思います。キーワードは、取引一任勘定、投資信託の公募と私募です。
AIJ投資顧問は企業年金の運用を委託されていましたが、その形態は「取引一任勘定」と言われる全部おまかせタイプです。投資顧問は運用方法に関して、顧客の理解を得る必要がありません。事後報告すれば良いのです。その報告によれば、このAIJはずば抜けた運用成績を数年間も継続していたのですが、それがウソだったのですから目も当てられません。しかし、なぜウソの報告がまかり通っていたのでしょう?

それは、国内で運用せずに海外で運用していたために、実態を隠すことができたのです。意図的に行われたのだと思いますが、AIJはケイマン私募投信を使ってリスクの高いヴァーチャルな取引(裏付け資産のないモノへの投資)にのめり込んでいました。ケイマンとはタックスヘブンと呼ばれる租税回避地です。税金がとても安いのは結構なのですが、投資家の秘密を守る方針のために、日本政府の監視の目が行き届かないのです。

ひるがえって、私が行っている金融仲介業はまったく異なります。まず、取引一任勘定は絶対に許されません。すべての取引は顧客の意向に基づき行われます。顧客を不適切な方向に誘導することも禁止されています。

以上は国内法の枠組みですが、私はそれに加えて、国内の公募投信しか扱わないという原則を決めています。つまり、非合法なオフショアファンドはもちろんのこと、怪しげな私募投信も紹介しません。さらに、私が大事にしている第二の原則は現物資産をロングする投資しかオススメしないことです。つまり、資産を現金で買って値上がりを待つというシンプルな投資に徹しています。今回のケイマン私募投信は悪い相場でも利益が出るというのですから、空売りやオプション取引を組み込んだ複雑な商品であったに違いありません。ロングに徹していないと、予想が外れて元本をすべて失うという怖さがあります。

頓挫した企業年金運用と公募投信による金融仲介業の違いをご説明してきました。声を大にして言いたいことは、私のお客様たちの資産が、こんな稚拙なアクシデントで減ることなど決してないということです。

しかし、この事件をきっかけとして、金融庁が権威をかざして行き過ぎた監督と規制を業界に向けてくることも心配です。不正な部分と正常な部分の違いが分からずに隅々まで調べるのは霞ヶ関の得意なパターンですが、そのコストを払うのは、結局は消費者なのです。金融庁のしらみつぶしの検査がはいると日常の仕事も停止するし、無駄な帳票や形式的な報告事項が要求されるのでリターンに結ぶ付かない非生産的な仕事が増えてしまいます。コンプライアンス対策のために人を雇わないといけない会社もあるほどです。こうした事件が起きないためには、むしろ企業年金の側(年金事務局)の倫理を正すことこそ必要です。法律を守らない人は、法律に守られないのです。

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コメント 1

株の空売り

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
by 株の空売り (2012-03-11 16:44) 

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Kunihiro Kitagawa

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